フィールド便り
フィールドワークは、主要調査地のインドネシアをはじめ、東南アジアにおいて、また国内でも行っています。最近ではオンライン上の調査も行います。2017年以降の芸術の調査の様子をお伝えします。最新記事はアメブロよりご覧いただけます!
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バリ島デンパサールにて上演された、現代演劇の制作と上演に関する調査を行いました。
香港、台湾、東南アジア各地からのアーティストが集まって制作と上演を行いました。中国の物語『牡丹亭』を題材に、舞台をヴェルサイユに移したという設定で行われた現代演劇です。バリ島をはじめ多くの地域から観客が集まり盛況の上演と
なりました。
会場はバリ島デンパサールの芸術大学のホールです。芸術大学の建物は美しく、敷地内にはヒンドゥーのシヴァ神や芸術を司る弁財天サラスヴァティーの彫像などをはじめ、バリ風の意匠をこらした多くの装飾品も見られます。舞踊専攻科で創作ダンスを作ってみるワークショップにも参加しました。
現代演劇の一場面
芸術大学でのワークショップ
タイのバンコクで行われた国際伝統音楽学会 ICTM の大会にて東南アジアのラーマーヤナ演劇に関するパネルディスカッションを行いました。
発表とともに、タイにおけるラーマーヤナ演劇についての調査も行いました。仮面舞踊劇コーンkhon や人形劇 hun lakhon lek などを観ることができました。タイのラーマーヤナであるラーマキエン(ラーマの栄光)は王宮文化の歴史において発展を遂げてきました。仮面舞踊劇コーンにおける優雅なダンスと身のこなしや絢爛な衣装や舞台装置からは、ラーマーヤナ演劇の王宮文化としての位置づけを知ることができます。また人形劇は、日本の人形浄瑠璃文楽と同様に人形一体につき3人の遣い手がいますが、特徴的なのは、その遣い手たちもダンスのステップを踏みながら上演を行う点です。様式化されたダンスを演じる遣い手たちによって操作される人形の演技によってラーマーヤナの物語が演じられます。
仮面舞踊劇の上演
人形劇の上演
ジャカルタで行われた社会科学と人間科学の国際学会に参加しました。
インドネシアの文化について、またポピュラーカルチャーの現状などについての発表を行いました。各地の研究者たちと交流を深めることが出来ました。
またジャカルタの芸術公園にてコンテンポラリーダンスであるアニマル・ポップについての調査も行いました。これはパプア出身のダンサーであるジェコ・シオンポさんが、ヒップホップなどの現代舞踊とパプアの自然に生きる動物たちの動きなどを融合して創作した新しいジャンルのダンスです。芸術公園では、屋外で、こどもから大人までのダンス教室が開催されています。
芸術公園TIMでのアニマル・ポップの練習風景
ジャワ島チルボンにてインドネシア宮廷文化フェスティバルに参加しました。
このイベントは、現在も宮廷文化を有する、あるいは過去に宮廷文化があったとされる地域の人々が集まり、上演を披露し、セミナーなどを開催するものです。過去に歴史的な王国を有していたことが確認される地域は、年々増え続けて、2017年には32の地域から人々が集ま りました。会場は持ち回りとなりますので、次にチルボンで開催されるのは少なくとも32年後となるそうです。
宮廷文化祭開会式の様子